歴史はまた繰り返す
人の想い、たくらみ、かなしみ
それはどの宇宙でも同じ事
それぞれの想いを抱え、
それぞれの時空は未来を目指し
譲れない思いと共に螺旋を描いて突き進む
そしてその流れが交差するとき、
新たな出会い、新たな戦いが始まる
そして、私達も…・。
Time for parallel 2201
YAMATO2520and機動戦艦ナデシコ
プロローグ
全ての始まり
歴史は繰り返す・…様様な意味を抱え、何度も繰り返される行為…。
それはやさしさ、それはにくしみ、それは調和、それは対立…・。
人は常に力を求め、互いを傷つけ、追い求める。
このM27球状星団の中核をなすロココ星の各地に見られる戦渦の跡が如実それを物語っている。
ここのみならず、銀河系各地に点在するオーバーテクノロジーを求めた二国間の熾烈な戦闘は銀河各地に大きな傷を刻みつけた。
一つは地球を中心とする地球連邦
一つは六文儀座C銀河を本拠とするセイレーン連邦
それぞれの国は百年にわたる戦闘で多くの犠牲を出し、戦争は終息したかにみえた。
それから17年…悲劇は再び繰り返されようとしていた。
…時に…星暦2500と20年。
痛々しい戦火の跡が残る惑星地上すれすれを2隻の戦艦が音速で疾走する。
先頭を走る銀色の艦体の艦底部に赤の配色がなされた、どこかしらかつての水上戦艦を思わせるフォルムをもつ宇宙戦艦が後ろから追走する2本のブレードを装備した…どこかしら角張っている緋色の戦艦の追跡を逃れんと、高速で突っ走る。
その圧倒的な存在感とスピード感を併せ持つ流麗なフォルムの艦体のからでる衝撃波からみて、マッハ2ぐらいはでているだろう、超ドレットノートクラスの戦艦が出すとは思えないスピードでこの星最大の古代遺跡にめがけて飛んでいく。
突如後続艦の左舷にかつての戦略原潜を髣髴させるずんぐりした艦が何もない空間から飛び出して、先頭の艦の追跡に加わる。
三隻に増えたことで、このシップチェイスは熾烈なものへなっていった。
「そうよ…ひらいて、お願い…!」
そう呟きながら、YAMATOバトルブリッジの下部にあるサブコンピュータルームで一人の少女がひっきりなしにコンソールを操作する。
その真上には…何らかの演算装置なのだろうか、その艦のデザインとは全く相容れない形の代物が何らかの文字と記号を浮かべ、鈍く光る。
それに連動したか、目の前に迫る遺跡の真中に突如艦一隻が入るくらいの入り口が突如出現した。
「後方敵艦左舷にセイレーン潜宙艦出現!なお接近中!」
「エネルギー充填100パーセントへ、プラズマ波動砲集束モード!」
「プラズマ波動砲、用意!」
ここYAMATOバトルブリッジでもまさに土壇場だった。
センサー管制席からメガネが新たな敵艦の出現を報告する傍ら、メインオペレート席と戦術オペレート席に座るレオンとナブがひっきりなしに波動砲の発射準備に追われている。
YAMATO艦首の球状カバーが引き込まれ、かわりに波動砲砲身がせり出したとき、YAMATOは勢いよく遺跡内部に突入した。
「YAMATO、遺跡内部に入りました!」
「遺跡ごと吹き飛ばしてやる、モノポール砲用意!」
指揮をとるアメシス少佐の指示でこの艦最大の武器である艦首モノポール砲のエネルギーが充填される。
左舷側にいる潜宙艦も高度を落とし、艦艇部のセイルをこすりつけながら強引にモノポール魚雷の発射体勢に入る。
おそらく同じことを考えているのだろう。彼女には何が何でも任務を遂行しようとするその船の指揮官…リキヤード少佐が頼もしく見えた。同じ軍人としてでなく、想いの人として…。
(なんのためか知らないがどうあがこうとこちらのモノポール砲の発射が早い。そもそもみずからを窮地に追い込んだ時点であの艦の命運は尽きたも同然…。)
皇帝である父親譲りの自身ありげな笑みを浮かべながらふと呟いた。
「これで終わりだ…YAMATO!」
もはや時間との勝負だった。
YAMATOの目の前では奥にある楕円形にドアのようなものが開き、ピンク色に輝く異次元空間をのぞかしていた。
そこめがけてYAMATOはスピードを緩めずそのまま突っ走る。
「モノポール砲、発射準備完了!」
「モノポール砲発射!」
アメシスの号令の元、艦首のブレードの間から一条のピンク色の光が打ち出される。
悪意をのせたビームはそのまま遺跡内部にいるYAMATOめがけて飛んでいく。
「発射!」
勢いよく波動砲のトリガーを引くナブ。
アメシス艦のモノポール砲とは対照的な青い光が艦首からほとばしる。
その光は勢いよく突き進み、遺跡の異次元空間にぶち当たった。
ビームを受け、一気に空間が反応する。その次の瞬間、半開きだったドアが勢いよく開いた!
「なに!」
内部のドアが全開になったのと同時に、外側の入り口が消滅する。
そこまではいい。
コンマ一秒の差で入り口付近の外壁にぶち当たったモノポールビームが、壁をぶち抜くどころか逆に拡散されたのだ。
「拡散されただと…そんなバカな!」
愕然とした表情で前方のスクリーンを見つめるアメシス。
だがそれも無理もない、理論的には五次元レベルで物質を崩壊させるビームが、ただの壁に弾き返されたのだから。
「きえた…?これはいったい!?」
潜宙艦を指揮するリキヤード少佐は別のほうで驚きをあらわにする。
ただ単にビームを跳ね返されたのだけならいい。技術力が格段と違うゴーダ文明の産物である以上、そのための防御デバイスがあってもおかしくないからだ。
だが外側の通路が消えたのと同時に、センサーに映っていたYAMATOの反応も消えうせてしまったのだ。
二隻はそれぞれの疑問を抱えながら、遺跡の前で停止した。
「おお…。」
バトルブリッジで目の前に広がる光景に誰もが驚きの声をあげる。
YAMATOは今、次元運河の中を航行しているのだ。
周辺には光の粒子が飛びまわり、ピンク色をした異次元空間はトンネルのようなものを形成し、その中をYAMATOが突き進む。
やがてYAMATOは巨大な光と化し、その奥へとすっ飛んでいった…。
「これは…!」
2隻の頭上にホロ映像が映し出されている。
なにか星雲のように見えなくもない。その光の集合体はどこか竜を思わせる。
「もしやこれは…竜座銀河!」
「やつらがいったのはそこか!クッ・…YAMATOめ!!」
悔しさに満ちた表情で、きているマントを床に叩きつける。
スラウザを初めとするアメシス艦のブリッジクルーは彼女の感情の爆発をただ黙って見るしかなかった…・。
「YAMATOが遺跡の通路に入っただと・…?」
ここは、セイレーン連邦本星にある皇帝の居城。
その執務室で一人の白い肌に赤い瞳…明らかに意図的な遺伝子操作が体になされている…の壮年男性がアメシスからの報告を聞きそう呟く
「それはかつて17代ヤマトが目指した道だ…。YAMATOを見失うな、追え!余も行動を起こす!!」
銀河百年戦争の再開、
ゴーダ文明の謎、
それぞれの想いと思惑とともに、この物語の舞台は竜座銀河へ移る。
だがYAMATOのクルー達は知らない。
その舞台に移る前に、新たな出会い、新たなもう一つの銀河の命運をかけた戦い、新たな試練が待ち受けていることを。
そのことを知る者は・…だれも…いない…・。
あとがき
皆さん始めまして、私YAMATOと申します。
とうとうやってしまいましたね…・それ以前にこの『YAMATO2520』を知ってる人てどのくらい居ることやら・…・。
正直な所、定期的に更新とはいかないと思います。しかし最後までやるつもりですのでそこらへんのところをよろしく。
それと、双方の設定についてですが・…。
基本的には『YAMATO2520』はVol.3と4の間、機動戦艦ナデシコはNADESIKO THE MISSIONのif物となっております。
そのためナデシコ側の時間軸では『草壁の乱』から1ヶ月後の2201年8月という設定となっております。
あまりにも早すぎるというご意見が出てきそうですが、その答えは…物語の中にあります。
それでは・…。
By YAMATO
機動戦艦ナデシコはジーベックの作品です。
YAMATO2520はニシザキ・ボイジャーエンターテインメント、及び松本零士の作品です
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